駒沢よしや矯正歯科 駒沢大学駅の矯正歯科専門医院

子どもの受け口プレオルソで治らないと言われたら上顎前方牽引装置(フェイスマスク)と治療時期

子どもの受け口で取り外し式の装置を使い始めたものの、「この装置では治りにくい」と説明され、別の装置や二段階の治療を提案されることがあります。費用は妥当なのか、そのまま始めるべきか、別の矯正歯科でも意見を聞くべきか迷うところです。大切なのは装置名を比べることではなく、受け口の原因と、次の装置が何を改善するためのものかを確認することです。

子どもの受け口と成長期の治療方法について、歯列模型を見ながら相談する保護者
受け口の治療は、歯の位置だけでなく、上あご・下あごの成長バランスと装置の目的を確認して選びます。

個人が特定されないよう、相談内容を再構成しています。

この記事のポイント

  • プレオルソで改善しにくいと言われても、別の「マウスピース」なら必ず合うとは限りません。
  • 受け口が歯の傾きによるものか、あごの成長バランスによるものかで、治療の目的と装置が変わります。
  • 医院回答では、上あごの成長不足が関係する場合を想定し、上顎前方牽引装置(フェイスマスク)を候補としてお伝えしました。
  • 成長を利用する治療では時期が大切ですが、年齢だけで開始を決めず、診察・検査で適応を判断します。
  • 提示された料金が相場から大きく外れていなくても、治療目的と二期治療までの総額を確認します。

医院からお伝えしたのは「装置名ではなく、受け口の原因に合う方法かを確認すること」です

今回のもとになった相談では、小学生のお子さんが受け口のため取り外し式の装置を使い始めた後、その装置では改善が難しいと説明されました。次に、別の取り外し式装置と、針金の付いた装置を順番に使う治療を提案され、一期治療・二期治療の費用や、セカンドオピニオンの必要性を心配されていました。

駒沢よしや矯正歯科からは、提示された料金は当時の一般的な範囲から大きく外れていない印象である一方、受け口の状態によっては、最初の取り外し式装置で改善が難しかったものを、針金の付いたマウスピース型の装置で治すという説明には確認が必要だとお伝えしました。

医院回答では、上あごの前方への成長不足が関係する受け口を想定し、当院なら上顎前方牽引装置(フェイスマスク)を検討するという考え方を示しました。また、成長を利用しやすい時期を逃さないよう、8歳ごろに始め、10歳ごろまでに一段階を終えることを一つの目安として案内しました。これはすべてのお子さんに同じ装置・同じ年齢を当てはめる意味ではなく、診察やレントゲン分析で適応を確認することが前提です。

受け口は「歯の位置」と「あごの成長」を分けて考えます

受け口は、下の前歯が上の前歯より前に出てかみ合う状態です。ただし、見た目が似ていても原因は同じではありません。前歯の傾きが中心の歯性、上あごの成長不足や下あごの成長が関係する骨格性、かみ合わせるときに下あごが前へずれる機能性、またはそれらが重なる場合があります。

診察では、前歯をどの位置でかんでいるか、下あごを無理なく閉じたときに前方へずれるか、顔つきと上下のあごの位置、永久歯への生え変わり、家族の受け口の傾向などを確認します。必要に応じて、口腔内写真、歯列模型やスキャン、パノラマレントゲン、横顔のレントゲン分析などを行います。

前歯の傾きだけを直す治療と、成長期に上あごを前方へ誘導する治療は、同じ「受け口の矯正」でも目的が異なります。相談文と装置名だけでどちらが適切かを決めることはできません。

プレオルソで治りにくいと言われた後に確認したいこと

取り外し式装置にはさまざまな種類があり、「マウスピース」という呼び方だけでは、歯を動かすのか、筋肉やかみ合わせを整えるのか、あごの成長へ働きかけるのかが分かりません。最初の装置が合わなかった理由と、次の装置で何を変えるのかを分けて説明してもらう必要があります。

  • 受け口は歯性・骨格性・機能性のどれが中心と考えられるか
  • 最初の装置で改善しにくいと判断した所見は何か
  • 次の装置は、前歯を動かすのか、上あごの成長を誘導するのか
  • 1日に必要な使用時間と、お子さんが継続できない場合の対応
  • 治療の終了目標と、効果を判定する時期
  • 一期治療の後に、二期治療が必要になる可能性と判断時期

上顎前方牽引装置(フェイスマスク)は、上あごを前方へ誘導する成長期の選択肢です

上顎前方牽引装置(フェイスマスク)は、リバースヘッドギアとも呼ばれます。額とあごの部分を支えにし、ゴムの力を上あご側の装置へ伝えて、上あごと上の歯を前方へ誘導することを目的とします。上あごの幅が狭い場合には、拡大装置を組み合わせることもあります。

日本矯正歯科学会の診療ガイドラインでは、思春期の成長が終わる前の骨格性下顎前突に対して、上顎前方牽引装置(フェイスマスク)を弱く推奨しています。短期的なかみ合わせや骨格の改善が期待できる一方、長期的には効果が小さくなる場合があり、成長後の外科的矯正治療をすべて避けられるわけではないためです。

つまり「早く付ければ必ず治る装置」ではありません。上あごの成長不足がどの程度か、下あごが今後どのように成長しそうか、毎日必要な時間を装着できるかを確認し、期待できる利益と負担を比べて選びます。

上顎前方牽引装置(フェイスマスク)の効果とデメリット、うまくいかないと感じるとき

上顎前方牽引装置(フェイスマスク)は、成長期に上あごと上の歯を前方へ誘導し、前歯のかみ合わせを短期的に改善することを目的とした装置です。一方で、装置が大きく主に自宅で使うこと、額やあごの圧迫や擦れ、指示された装着時間を守れないと効果が出にくいこと、その後の下あごの成長で受け口が再び目立つことがある、といった負担や限界があります。「失敗した」と感じる背景には、装着時間の不足、骨格性の程度が強い、開始時期が遅かったなどが関係することがあります。始める前に、効果を判定する時期と、改善が不十分な場合の次の選択肢(二期治療や成長終了後の外科的矯正治療を含む)を確認しておくことが大切です。

治療時期は「今すぐ」か「永久歯がそろってから」かの二択ではありません

骨格の成長が関係する受け口では、成長を利用できる時期に評価する意味があります。今回の医院回答で8歳ごろから10歳ごろまでという目安をお伝えしたのも、上顎前方牽引装置(フェイスマスク)の効果を検討しやすい時期を意識したためです。

ただし、実際の開始時期は、生え変わりの段階、受け口の程度、骨格分析、成長の残り、装置を使える生活状況で変わります。相談だけ先に行い、検査や開始は適切な時期に合わせることもできます。「早いほどよい」という説明だけで契約を急がず、今始める目的と、待った場合に何が変わるのかを聞いてください。

料金は相場だけでなく、二期治療までの総額と範囲を確認します

元の医院回答では、提示された料金は適正な範囲と思われることもお伝えしました。ただし、金額が一般的な範囲であることと、治療方法がお子さんに合っていることは別の問題です。

一期治療の検査料・装置料・毎回の処置料、壊れたときの費用、二期治療へ進む条件、一期治療分が二期治療費から差し引かれるか、保定装置や追加装置が総額に含まれるかを、書面で確認すると比較しやすくなります。

セカンドオピニオンで確認したい8つの項目

  • 受け口の原因は、歯の位置・上あご・下あご・下あごのずれのどこにあるか
  • 現在の成長段階で治療を始める明確な目的は何か
  • 提案された装置が、その目的にどう働くか
  • ほかに検討できる方法と、それぞれの利点・負担
  • 必要な装着時間と、使用できなかった場合の見通し
  • 一期治療で改善を判定する時期と、終了基準
  • 二期治療や外科的矯正治療が将来必要になる可能性
  • 検査から保定までの総額、毎回の費用、追加費用

相談時に持参すると役立つもの

  • これまで使った装置と、使用時間が分かるメモ
  • 以前の口腔内写真、レントゲン、歯列模型・スキャン
  • 最初の装置を中止・変更した理由の説明書や治療計画
  • 一期・二期治療の見積書と、毎回の処置料が分かる資料
  • お子さん本人が困っていること、装置を使える時間帯

よくあるご質問

プレオルソで受け口が治らないと言われたら、次は何を確認しますか?

まず、受け口が前歯の傾きによるものか、上あご・下あごの成長バランスによるものか、かみ合わせるときの下あごのずれが関係するかを確認します。そのうえで、次に提案された装置の目的、期待できる変化、使用時間、治療期間、成長後に追加治療が必要になる可能性を説明してもらいます。装置の名前だけでは適否を決められないため、診察・検査が必要です。

上顎前方牽引装置(フェイスマスク)は、どのような受け口で検討しますか?

上あごの前方への成長が不足している骨格性の受け口などで、成長期に検討する装置です。上の歯だけを前へ傾ければよい受け口とは目的が異なります。適応は、かみ合わせ、顔つき、成長段階、レントゲン分析などを確認して判断します。すべての受け口に合う装置ではなく、将来の追加治療を必ず避けられるものでもありません。

子どもの受け口の治療は、8歳から始めればよいですか?

年齢だけで一律には決められません。今回のもとになった医院回答では、上顎前方牽引装置(フェイスマスク)を使う場合の一つの目安として、8歳ごろに始めて10歳ごろまでに終える考え方をお伝えしました。実際の開始時期は、受け口の原因と程度、永久歯への生え変わり、骨格、成長の残り、お子さんが装置を使えるかを診察・検査して決めます。

上顎前方牽引装置(フェイスマスク)は何歳まで使えますか?

年齢だけで一律に区切ることはできません。日本矯正歯科学会の診療ガイドラインは思春期の成長が終わる前の骨格性下顎前突を対象としており、実際には永久歯への生え変わり、骨格の分析、成長の残り、装置を続けられるかを診察・検査して判断します。時期を過ぎた場合も、成長終了後に別の方法を検討できることがあります。

成長期の受け口治療のリスクと限界

この記事は一般的な情報提供を目的としています。受け口の原因、上顎前方牽引装置(フェイスマスク)や取り外し式装置の適応、開始時期は、歯並び、かみ合わせ、上下のあごの位置、永久歯、成長段階などを診察・検査して判断します。装置には、歯の痛みや違和感、額・あごへの圧迫や擦れ、口内炎、虫歯・歯肉炎、装置の破損、装着時間を守れないことによる治療の遅れなどが起こることがあります。短期的に受け口が改善しても、その後の下あごの成長で再びかみ合わせが変わり、二期治療や、重い骨格性の場合には成長終了後の外科的矯正治療が必要になる可能性があります。早期治療によって将来の追加治療を必ず避けられる、顔つきや成長を希望どおりに変えられる、治療結果が長期に維持されると保証することはできません。

監修

駒沢よしや矯正歯科 院長 吉屋 慶章
日本矯正歯科学会認定医。子どもの受け口、成長期のかみ合わせ、矯正治療の開始時期についての相談を行っています。

子どもの受け口と治療時期について相談したい方へ

初診相談では、現在の歯並び・かみ合わせと成長の段階を確認し、今治療する目的、検査が必要な時期、装置の選択肢を整理します。

WEB予約をする